暗号化とは、情報を特定のアルゴリズムで変換し、許可された者のみが復号できるようにする技術である。
概要

暗号化は古典的な軍事通信から派生した手法だが、デジタル金融環境では取引データや個人情報の機密性を確保するための基盤となっている。API銀行・オープンバンキングの普及に伴い、外部サービスとの安全な連携が求められ、PSD2の下で顧客認証とデータ共有の両立が課題化した。PCI DSSやKYC/AML規制も暗号化を前提条件としている。
役割と機能

- 通信保護:TLS/HTTPSで送受信データを暗号化し、途中での盗聴・改ざんを防止。
- 保存保護:DBやファイルに格納された個人情報・取引履歴をAES等で暗号化して漏洩リスクを低減。
- 認証・署名:RSA/DSAなど非対称鍵でデジタル署名を行い、改ざん検知と送信者確認を実現。
- トークナイゼーションとの連携:カード情報等のセンシティブデータを暗号化しつつ、代替トークンで処理できるようにする。
- 規制遵守:KYC/AML検証時に顧客情報を暗号化保存し、監査・報告要件を満たす。
特徴

| 特性 | 説明 |
|---|---|
| 対称鍵(AES) | 高速で大量データに適用。キー管理が課題。 |
| 非対称鍵(RSA/EC) | 署名・認証に使用。公開鍵基盤 (PKI) が必須。 |
| ハイブリッド方式 | TLSは非対称鍵でセッション鍵を確立し、対称鍵でデータを暗号化。 |
| キー管理 | HSM(Hardware Security Module)やクラウドKMSが一般的に採用される。 |
| 量子耐性への移行 | Post-Quantum 暗号アルゴリズムの標準化が進行中で、将来の互換性を考慮した設計が求められる。 |
現在の位置づけ

暗号化は金融取引において不可欠なセキュリティ層であり、PSD2やeウォレット、モバイル決済・QRコード決済といったデジタルサービス全般で標準的に実装されている。PCI DSSでは「暗号化されたデータの保存」や「通信時の暗号化」が必須項目となり、多くの金融機関がHSMベースのキー管理を採用している。また、3D Secure 2.0 の導入により、カード情報のトークナイゼーションと暗号化が統合された認証フローが普及しつつある。近年は量子コンピュータによる鍵解読リスクを考慮したポストクアンタム暗号への移行計画も進行中で、規制当局や業界団体が新たな標準策定に取り組んでいる。
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