時価調整基準とは、投資信託やETF等の基準価額算定において、時価評価の方法や計算上の調整点を定める基準である。
概要

時価調整基準は、基準価額算定基準の一部として位置づけられ、投資信託・ETFの時価評価を統一的に行うために設けられた。投資対象資産の取引市場が存在し、かつ取引価格が公表される場合は、その価格を基に算定するが、取引停止や取引価格の欠如が生じた際にどのように代替評価を行うかを明確にすることで、投資家保護と市場の透明性を確保する。
この基準は、アクティブファンドやパッシブファンド、ファンドオブファンズ、ヘッジファンドなど、さまざまな投資信託形態に共通して適用され、特にiDeCo対応投信やつみたて投資信託のように長期的な資産形成を目的とする商品でも重要な役割を果たす。
役割と機能

時価調整基準は、以下のような場面で機能する。
1. 取引価格の欠如時の代替評価:取引停止や取引価格が公表されない資産に対して、過去の平均価格や市場深度情報、あるいは類似資産の価格を用いて時価を算定する。
2. 取引時間外の評価:取引時間外における価格変動を考慮し、翌取引開始時の価格を反映させる調整を行う。
3. 分配金・配当の反映:無分配型ファンドにおいては、分配金の再投資を時価に含めることで、基準価額の実質的価値を正確に表す。
4. 解約手数料計算の基礎:投資家が解約時に受け取る金額は、時価調整基準に基づく基準価額を用いて算定されるため、正確な評価が不可欠である。
特徴

- 統一性:同一資産クラス内で異なるファンドが同一の時価評価方法を採用することで、投資家間の比較が容易になる。
- 柔軟性:市場環境や取引状況に応じて、代替評価手法を選択できる設計がなされている。
- 透明性:評価方法と調整ルールが明文化されているため、投資家は評価プロセスを容易に把握できる。
- 適用範囲の広さ:株式、債券、REIT、ETF、ヘッジファンドのように多様な資産に対して適用可能である。
現在の位置づけ

近年、金融市場のデジタル化と取引の高速化に伴い、時価調整基準はさらに重要性を増している。特に、ETFの取引量が拡大し、取引価格のリアルタイム性が求められる中、代替評価手法の精度向上が課題となっている。
規制当局は、時価調整基準の適正性を確保するために、定期的なレビューと更新を行い、投資家保護と市場の健全性を両立させる方針を示している。
また、iDeCoやつみたて投資信託のような長期投資商品では、時価調整基準が投資家のリターン計算に直結するため、特に厳格な管理が求められる。
総じて、時価調整基準は投資信託・ETF市場における基準価額算定の根幹を支える不可欠な枠組みであり、今後も市場環境の変化に応じた適切な運用が期待される。

