評価差額調整手続きとは、投資信託やETFにおいて、基準価額と市場価格の差異を調整するために行われる会計処理である。
概要

投資信託・ETFは毎日基準価額(NAV)が算出されるが、売買注文や分配金の受領などによって、その時点の実際の資産価値とNAVにズレが生じることがある。評価差額調整手続きは、こうした時間的・計測上の誤差を修正し、投資家に対して公正な基準価額を提示する目的で設けられた制度である。主に、分配金や経費の支払日、株式等の売買時点とNAV算出日のタイミングが異なる場合に適用される。
役割と機能

- 公正価値の維持 – 投資家が購入・解約する際に提示される基準価額が、実際の資産価値を反映していることを保証する。
- 税務・会計整合性 – 分配金や経費の処理時点とNAV算出日とのズレを調整し、税務申告や財務諸表での適正表示を実現する。
- 市場価格との連携 – ETFの場合、市場価格がNAVから大きく乖離した際に評価差額調整を行うことで、流動性と価格安定性を支える。
- 規制遵守 – 証券取引法や投資信託及び投資法人等の管理運用基準において、正確なNAV算出が義務付けられているため、その要件を満たす。
特徴

-
タイムスタンプ調整
分配金・経費は実際には取引日ではなく決済日で記録されることが多く、評価差額調整によりその遅延分を反映できる。 -
会計上の一括処理
個別の取引ごとに調整するのではなく、一定期間(通常は1日)でまとめて算出されるため、運用コストが低減される。 -
投資家保護機能
NAVが実際の資産価値を過大・過小評価しないようにすることで、購入時と解約時の価格差異を最小化し、公平性を担保する。 -
ETF特有の適用範囲
純粋な投資信託では市場価格が存在しないため調整対象は限定的だが、ETFでは取引所でリアルタイムに価格が形成されるため、評価差額調整が頻繁に行われる。 -
規制の進化
金融庁や証券取引所が定める基準価額算出指針の改訂に伴い、評価差額調整手続きの計算方法も更新されている。
現在の位置づけ

近年の資産運用市場では、低金利環境と高頻度取引が特徴となっており、投資信託・ETFともに分配金や経費のタイムラグが顕著になっている。評価差額調整手続きは、そのような環境下でNAVの正確性を保つために不可欠なプロセスとして位置づけられる。また、スマートベータファンドやヘッジファンド等、複雑な資産構成を有する投信では評価差額調整がさらに重要になり、運用報告書の透明性向上にも寄与している。規制面では、証券取引法に基づく「公正価値算定基準」の改訂や、金融庁によるNAV算出指針の更新が行われており、評価差額調整手続きはそれらの枠組み内で継続的に見直されている。
続きを読むには確認が必要です
関連記事

