Open Banking API Spec 3.2

Open Banking API Spec 3.2とは、金融機関が顧客データや決済機能を安全かつ標準化された形で第三者に提供するためのAPI仕様書である。
この仕様は、欧州連合のPSD2(Payment Services Directive 2)に基づき、Open Banking Implementation Entity(OBIE)が策定したものであり、バンキングサービスのデジタル化と競争環境の拡大を支える技術的基盤である。

目次

概要

概要(Open Banking API Spec 3.2)の図解

Open Banking API Spec 3.2は、前世代仕様から進化し、API設計原則(RESTful、JSONベース)に加えて、認証・権限付与、データ保護、監査ログの取り扱いを統一的に規定している。
この文書は、金融機関が顧客同意取得から情報提供までを一貫したプロセスで実装できるよう設計されており、APIゲートウェイや認証サーバーの標準化を促進することで、システム統合コストの低減と市場参入障壁の緩和を図っている。
仕様は、顧客データ共有(Account Information Service)と決済発起人サービス(Payment Initiation Service)の二つの主要サービスタイプに分けられ、それぞれが独立したエンドポイントとセキュリティ要件を持つ。

役割と機能

役割と機能(Open Banking API Spec 3.2)の図解

Open Banking API Spec 3.2は、以下のような場面で活用される。

  1. データ共有:顧客が自らの取引履歴や残高情報を第三者アプリに安全に提供できるようにする。
  2. 決済発起人:ユーザーは外部サービスから直接銀行口座へ送金指示を行うことができ、モバイル決済やeウォレットと連携して即時支払いを実現する。
  3. 認証・同意管理:OAuth 2.0ベースのフローに加え、追加的なセキュリティ層(多要素認証、トークナイゼーション)を組み込むことで、不正アクセス防止とコンプライアンス遵守を実現。
  4. 監査・ロギング:API呼び出しの履歴を標準化されたログ形式で残すことにより、AML(Anti-Money Laundering)やKYC(Know Your Customer)の要件を満たす。

これらの機能は、金融機関が顧客データを安全に外部へ提供しつつ、第三者サービスプロバイダーが新規ビジネスモデルを構築できる環境を創出する。

特徴

特徴(Open Banking API Spec 3.2)の図解

  • 統一された認証フロー:OAuth 2.0とOpenID Connectを組み合わせた標準化された認証機構により、複数のサービス間で共通のセッション管理が可能。
  • リソースベースの設計:Account、Balance、Transaction、Paymentなど、各種データは明確なエンティティとして定義され、拡張性と再利用性を高めている。
  • 同意管理の細分化:顧客が取得する情報や許可期間を細かく設定できるため、プライバシー保護とビジネス要件の両立が図られる。
  • セキュリティレイヤーの強化:TLS 1.3、JWT(JSON Web Token)ベースの署名・検証、トークン失効機構など、最新の暗号技術を採用している。

これらは、従来のバンクAPIと比べて設計上の一貫性が高く、開発者に対する学習コストを低減させる点で優れている。

現在の位置づけ

現在の位置づけ(Open Banking API Spec 3.2)の図解

Open Banking API Spec 3.2は、欧州圏のみならず、アジアや北米でも類似仕様(UK Open Banking、PSD2互換API)へ移行する動きが進んでおり、グローバルなオープンバンキングエコシステムの基盤として位置づけられている。
金融機関は、この規格に準拠したAPIを公開することで、BaaS(Banking-as-a-Service)プロバイダーとの連携や組込型金融サービスへの参入が容易になり、デジタルバンキングの競争力向上につながっている。
また、規制当局は、Open Banking API Spec 3.2に対して監査・コンプライアンス要件を明確化しつつ、イノベーション促進と消費者保護のバランスを取るためのガイドラインを策定している。
近年では、API仕様の更新が頻繁に行われており、セキュリティ強化やデータプライバシーへの対応が継続的に追求されている点が特徴である。

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