実績 NOIとは、実際に不動産が生み出した収益から運営費用を差し引いた金額である。
概要

実績 NOI(Net Operating Income)は、物件の経営実績を測るために用いられる指標で、賃料収入、その他の収益(駐車場料、サービス料等)から、管理費、修繕費、保険料、税金(固定資産税・都市計画税等)を差し引いた値である。
この指標は、資金調達構造(借入金利・返済負担)や税務上の処理(減価償却・税額控除)を排除し、純粋に不動産の運営効率を示すため、投資家や金融機関が物件の収益性を比較する際の基準となる。
実績 NOIは、投資評価においてキャップレート(Cap Rate)計算の分子として使われ、物件価値の算定やREIT(不動産投資信託)のファンドパフォーマンス評価に不可欠である。
役割と機能

実績 NOIは、以下の場面で重要な役割を果たす。
1. 価値評価:キャップレート=実績 NOI ÷ 物件価値から物件の市場価値を推定。
2. 投資判断:同業種・同地域の物件と比較し、収益性の優劣を判断。
3. 資金調達:ローン契約における返済比率(DSCR)や、担保価値評価の基礎指標。
4. 運営管理:経営改善策の効果測定。実績 NOIの変動を追跡し、賃料改定や修繕計画の最適化に活用。
5. 報告義務:REITや不動産投資会社は、定期的に実績 NOIを開示し、投資家への透明性を確保。
特徴

- 非財務項目の除外:減価償却、利息、税金を除外し、運営コストのみを反映。
- 期間依存性:月次・四半期・年次で計算され、季節変動や一時的な収益変動を吸収。
- 比較可能性:同業種・同地域の物件間で統一した指標として利用できる。
- 限界:資金調達コストや税務上の優遇措置を反映しないため、総合的な収益性評価には別指標(EBITDA、ROIC等)と併用が必要。
- 計算方法の統一:国や業界団体が定める基準に従うことで、報告の一貫性を保つ。
現在の位置づけ

近年の不動産市場では、実績 NOIは投資判断の核心指標としてさらに重視されている。
- REITの開示基準:多くの国で、REITは実績 NOIを年次報告書に必ず記載し、投資家への情報開示を義務付けている。
- ESG投資との連携:環境・社会・ガバナンス(ESG)要因を評価する際、実績 NOIの改善が「持続可能な収益性」として評価されるケースが増加。
- 規制の変化:金融機関の貸出基準が厳格化する中、実績 NOIが担保評価の重要指標として位置づけられ、DSCR(Debt Service Coverage Ratio)算定に不可欠。
- 市場の透明化:オンライン不動産情報プラットフォームやデータベースが実績 NOIを公開し、投資家が比較分析しやすくなっている。
実績 NOIは、不動産投資の収益性を客観的に測定し、投資判断や資金調達、運営管理に不可欠な指標であり、現代の不動産市場において不可欠な情報源となっている。

